給付型奨学金

昨年12月、2018年度から給付型奨学金制度をスタートさせるという政府の方針が発表されました(2017年度から一部先行実施)。
内容は、住民税非課税世帯の大学等進学者を対象として、月2~4万円を1学年あたり2万人に給付する(児童養護施設を出たばかりの者には別に入学金相当額を給付する)というものです。

これを画期的だと評価する声がある一方で、給付額・対象者数が少なすぎる(住民税非課税世帯の進学者は全体で6万人を超えるとされています)、対象者を選ぶ基準が明確でない等の問題点も指摘されています。

私が気になったのも、対象者を選ぶ基準です。
国の指針によると、対象者となるのは、①高い学習成績、②教科以外の学校活動等で大変優れた成果、のいずれかの要件を満たす者とされています。
しかし、この基準では、家計を支えるためのアルバイトに追われ学業に専念できない生徒が対象者として選ばれるのは困難です。
経済的に苦しんでいる者ほど給付型奨学金の受給が遠のくというのはおかしな話ではないでしょうか。

そもそも、広く進学の機会を確保するという奨学金の趣旨からすれば、大学等で学びたいという意欲のある者には、成績等に関係なく奨学金が給付されるべきです。
限られた財源の下、給付額の引き上げもこれからの課題ですが、まずは対象者を住民税非課税世帯の進学者全員に広げ、上記のような基準で選ばなくて済むようになることを期待したいです。

今後、この給付型奨学金制度が、時の政府の意向や国の財政状況に影響されることなく、一歩ずつ着実に前進していくことを願うばかりです。

以上

埼玉奨学金問題ネットワーク
山田知輝

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