埼玉奨学金問題ネットワーク

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代表あいさつ

埼玉奨学金問題ネットワーク
代表 聖学院大学経済学部 教授 柴田 武男

日本学生支援機構の奨学金制度が劣化しています。奨学生が心肺停止で上下肢麻痺(まひ)、いわゆる寝たきり状態に陥っても「 精神若しくは身体の障害による」返還免除規定を適用しようとしないなど、奨学金を受けた多くの若者が返済困難を訴え、機構の対応に怒っています。
現在、2004年に独立行政法人日本学生支援機構に組織変更されて、奨学金制度は日本育英会の時代とは大きく変化しています。

第一に、無利子貸与の第1種奨学金と有利子貸与の第2種奨学金となり、後者が圧倒的に増えてます。12年度予算でみると、貸与金の総額は1兆1263億円で貸与人員133万9千人となり、第1種が38万3千人、第2種が95万6千人となっています。教育職または教育研究職についた場合の奨学金の返還が免除される特別免除制度、いわゆる免除職は1998年と2004年に廃止されています。

確かに、貸与制度で奨学金を利用して進学できる人数は増大しましたが、それを有利子の第二種奨学金制度で対応しています。つまり、自己責任原則の貫徹です。
現行、最高金額での借入は、月額12万円、入学時特例増額50万円で、学生支援機構による上限利率計算3%ですと、貸与総額626万円、返還総額843万6847円、20年間毎月3万5152円の返済となり、この返済が卒業半年後から始まります。大卒の初任給は手取り18万円だとよいくらいですが、そこから、毎月3万5千円の返済はとても厳しいものがあります。

さらに、返還が遅れると延滞利息は10%と跳ね上がります。1カ月遅れると本人に電話の督促、2カ目は連帯保証人に、3カ月目は保証人にも、そして延滞3カ月目には信用情報機関に事故情報として通知する、いわゆるブラックリストに登録でクレジットカードや住宅ローンの借入に支障が出ます。組織だった厳しい督促状況は一時のサラ金並みだと。いや違う、サラ金の方がましだとさえ指摘されることもあります。

サラ金は返済能力の調査を義務づけられ、返済困難な場合貸し手としての責任が問われるのですが、学生支援機構の奨学金制度には返済能力の調査はありません。むしろ無いことが奨学金制度の本質なのです。18歳の高校生時点で手続きが始まります。事前予約制度です。
どんな職業に就くかも未知数な若者の返済能力を確かめようがありません。返済能力の調査ができませんから、返済困難者が相当数出ることを前提の貸付制度となります。サラ金の場合は返済能力の調査が義務づけられていますから貸し手の責任が問われ、過剰な貸し付けには減額措置など調停が行われます。減額して払える金額にして、無利子で元金の分割払いとなります。ほとんどのサラ金はこうした交渉に応じます。

しかし、こうした交渉に一切応じないのが日本学生支援機構です。借り手の返済能力への考慮は一切ありません。借りたら全額返せ、それも先に延滞金を支払えと高圧的です。延納とか返済免除の規定はあります。ありますが、学生支援機構には返済免除したくても出来ない事情があります。
第2種の貸付金8021億円3729万円のほとんどは金融市場からの借入金です。市場から民間資金借入を行っていて2013年度は、約1・6兆円程度の調達を予定しています。年間1800億円の日本学生支援債券の発行も予定しています。そして、銀行間の取引金利より低い金利で資金調達できるという超優良金融機関なのです。その高い信用度を支えているのが延滞率の低さで、それはサラ金以上とも言える過酷な取り立てで担保されているのです。また、独立行政法人として財務省から延滞債権の解消、つまり厳しい取り立てを要請されています。

若者の未来を切り拓くはずの奨学金制度が市場原理という濁流に飲み込まれ、逆に未来を塞ぐものなっているおぞましい現実があります。しかしこの若者降り注ぐ災厄は天災などの異常気象ではありません。人為的なものです。われわれの努力で解決できます。そのために「埼玉奨学金問題ネットワーク」が設立され活動を始めています。
私たちは現在、奨学金返済問題で困難に陥っている人を助けたいと思っています。多くの若者が巨額な負債を抱え、返済に怯えています。まず、緊急にこの人たちを助けねばなりません。ですが、現在の日本学生支援機構の対応では完全な解決は困難です。困難ですが、孤立させず、相談相手になり、可能な限り支えていきます。

もう一つ中期的な課題があります。それは、奨学金制度の改善です。現状の日本学生支援機構を中心とした奨学金制度は利子付きの貸与型です。まず、無利子の奨学金制度を拡充していかねばなりませんし、日本育英会で実現されていたようにすべての奨学金を無利子にするという運動をしています。それだけでは十分ではありません。経済格差の拡大する一方での経済状況では、それを少しでも是正するためには返済の必要の無い給付型を導入すべきです。

多くの方々のご支援を期待しています。


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