埼玉奨学金問題ネットワーク

埼玉県さいたま市浦和区岸町7-12-1 東和ビル4階 埼玉総合法律事務所内

TEL 048-862-0342

2周年記念シンポジウム報告

2周年記念シンポジウム報告

「埼玉奨学金問題ネットワーク」設立2周年記念シンポジウム報告

「いま、そこにある奨学金問題~現場の取り組みから考える~」テーマに、「埼玉奨学金問題ネットワーク設立2周年記念シンポジウム」を2015年11月8日(日)午後1時30分よりさいたま市民会館うらわ503・505号室において48名が参加し開催されました。

1、

定刻、副代表の井口鈴子氏の開会あいさつによりシンポジウムは開始し、最初に当ネットワーク代表の柴田武男氏より、約1時間基調報告がありました。

2、

基調報告では、日本学生支援機構の奨学金について入口は奨学金、出口は金融というところに問題があり、日本学生支援機構の取立がサラ金以下の実態にあること、返済義務について多くの奨学生が知らなかったという現状についても問題であるとの指摘がなされました。

柴田代表は文科省の「平成26年度 奨学金貸与事業費(予算)」を示しながら第一種奨学金、第二種奨学金の事業費について説明し、民間資金の導入の実態から機構がいう「返済が次の奨学金の原資となる」という説明には根拠がないことを明らかにしました。

3、

当事者発言では2名の方の発言(1名は代読)がありました。

① 大学の非常勤講師の方は、年収が300万円を超えることは殆どなく返済が困難であること、こちらから機構に電話を掛けても繋がらず繋がっても一方的で相談にならないこと、大学自体の取り組みが必要で、このままでは教育破壊になる、との発言がありました。

② 鴨田事務局長代読の生活保護受給中の返済者は、機構に連絡しても履歴も残ってないなども含め職員の対応がズサンで、猶予の申請についても延滞金があることにより拒否され、申請のための書類収集についても困難で現実から乖離していること、生活保護受給中の借入金返済はできないことについても「奨学金は借金ではない」などの対応をされ、猶予を認めるに際しても「支払督促費用」の支払いを求められた、との発言がありました。

4、奨学金問題の取り組み報告

① 奨学金問題と学費を考える兵庫の会 佐野修吉氏
佐野氏は、「奨学金問題と学費を考える兵庫の会」の設立経緯と兵庫での取組について報告があり、報告では「相談事例」の紹介と「相談を受けて、見えてきたこと」に関して、機構のサラ金化、機構の横柄さと相談の外部委託などの問題について指摘し、また、猶予期限の期限が切れる3年半後に深刻な事態が生じることについて憂慮している(注)、との発言がありました。

(注)従前、経済困難を理由とした返還期限猶予は5年が上限でしたが、2014年4月から上限10年に変更になりました。
それまでに既に5年間猶与を利用し、その後も引き続き猶与を利用される方は2019年3月までということになります。
ここで言う「3年半後」とはその2019年3月の猶与期限のことを指しています。

② 埼玉県労働者福祉中央協議会  永田氏
労福協として奨学金問題に取組むことを決定し、すでにアンケートや署名活動や集会など実施しており、今後共に取り組むとの報告がありました。

③ 首都圏なかまユニオン 伴幸生氏
首都圏なかまユニオンでは早くから「奨学金返済問題」に取り組んでおり、その契機についての報告があった。
文教科学委員会で「返還金の充当方法」について「機構で検討するようにとの答弁を引出したり、表に出ていなかった返済猶予手続きについて掲示させるなどの活動の報告があった。

④ 東京私大教連 石川浩司氏
東京私大教連が実施した30年間調査に基づく「私立大学新入生の家計負担調査」に基づき、「世帯の税込み年収」「毎月の仕送り額」「一日あたりの生活費試算」等について報告がありました。

⑤ 埼玉県立高校教諭 仲野研氏
高校における「機構の奨学金手続き」と「保護者向け説明会の実施」などの取り組みについて紹介がありました。
また、まだまだ現場の教員に奨学金問題の情報が伝わっていない現状について、制度が理解されていないことにより「不要な借り入れ」などが憂慮される、との指摘がありました。

⑥ 奨学金問題対策全国会議 事務局長 弁護士 岩重佳治氏
本シンポジウムについてこれまでの発言等についての感想と名古屋で開催されたシンポジウムについて報告があり、中央労福協の取り組みについて拠点に弁護士、司法書士を配置するなどの要請もあり取り組んでいくこと、「所得連動型の奨学金」について注視しなければならないこと(注)、目の前の事実についての取り組みの必要性についての発言がありました。

(注)機構は、所得連動型の返済制度の創設を検討していますが、閾値(一定額の所得に満たない者に対して返済を求めないというライン)、返済終了期限、利子負担、所得以外の要素の考慮など未了の議論があり、これらの結論次第では奨学生への実効的な救済とならない可能性があることを指摘されています。

5、来賓、議員挨拶

シンポジウムには、国会議員(秘書含む)、埼玉県会議員、市議会議員の出席があり、行田邦子参議院議員から挨拶を受け取り組みについての表明がありました。

また、佐藤洋桶川市議、山口泰明衆議院議員よりのメッセージが紹介されました。

6、閉会の挨拶

最後に、当ネットワーク副代表の白鳥勲氏が「社会の在り方」「格差」「貧困」の問題であることが指摘され、「家庭訪問」「学習教室」の活動を通じて「大人が傍にいることで、生きる希望」につながること、「学問」は世界を広げ、生きるそのものであり、奨学金問題についての取り組みを進めることの必要性を訴え、16時40分本シンポジウムを閉会しました。

« »