4月21日(土)、早稲田奉仕園スコットホールという教会で、「高等教育無償化・奨学金『誰のため 何のためか』」と題して奨学金問題対策全国会議の設立5周年集会が開催されました。
集会当日は様々なプログラムがありましたが、中でも東京工業大学名誉教授の矢野眞和先生の基調講演は、私たちがこれから取り組む高等教育無償化について大変勉強になる内容でした。
簡単にですが、以下に講演の内容の一部をご紹介します。
- ・高等教育無償化は、「大人のため」であり、「雇用のため」である
- ・大学時代の勉強は現在の収入に直結するわけではないが、現在の勉強に強く関連し、それが現在の収入に強く関連するため、間接的に現在の収入に大きな影響を与えている
- ・社会人としての技能や収入は、高校での成績よりも大学での成績が影響を与えている
- ・「大学教育は役に立たない」、「大学の学業成績は将来のキャリアに関係ない」という世間の通説は誤りである
- ・学歴によって所得に差が生じるのは学習の成果である
- ・高卒者よりも大卒者の方が生涯賃金の平均は7100万円高く、この分税収も上がるので、私立大学は国の財政に寄与していると言える
- 「無資力優良児が大学に行かないのは国家の損失」は誤りであり、正しくは、「無資力普通の子が大学に行かないのは国家の損失」である
- ・「大学授業料は親が負担するのは当たり前」、「大学教育は役に立たない」という世論は誤りである
- ・20歳前後の年齢の学生しかいない日本の大学は世界的に見て異常である
- ・働いて始めて何を学びたいか分かる=18歳ではそれが難しい
- ・勉強したくなければ中退してよいし、復学したければ容易にできるようにするのが望ましい=「明るく中退、元気に復学」
- ・高等教育無償化に必要な予算は約2.5兆円である
- ・大学費用負担についての矢野教授の試案
消費税増税0.5%+所得税の最高税率5%増
+法人税(減税)の1%分+本人負担(授業料33万円を卒業後に後払い) - 「お金があれば誰でも」ではなく、「基礎学力があれば誰でも」大学に入学できるようにすべき
- ・大学教育の効果は本人だけでなく、一緒に仕事をしている非進学者にも及ぶので、「教育無償化は税金の負担をする非進学者が損をする」という世論は誤りである
以上になります。
当会でも引き続き学費無償化・奨学金充実の学習を続けていきたいと思います。
埼玉奨学金問題ネットワーク事務局長 弁護士 鴨田譲