今や教育職・研究職も特別扱いはない

学生の頃、私が育英会(現在の日本学生支援機構)奨学金について知っていたのは、卒業後に教育や研究に係る一定の職に就いて、ある程度の期間を勤め上げれば返還義務が免除されることくらいでしたが(※)、漠然と、経済的理由により修学が困難な学生に修学を奨めるために、その名のとおり貢献しているとのイメージを抱(いだ)いていました。

しかし、ここ5~6年の間に債務整理の相談を受ける中で目にしたのは、返還の猶予や減額の制度は用意されているものの使い勝手が良かったとはいえず、修学には貢献しているのかも知れませんが卒業後には大変な負担が待っているという実態です。
非正規雇用が珍しくなくなってしまった今日、これまでのような一律に返済額を決めるやり方は、とうに現実的ではなくなっていたと思います。

個人的には、常識に思えた上記の特例が、いつの間にか廃止されて新規適用がされていないことを知ったとき、いささか衝撃を受けました。
いったい育英会がどう変わったのか、また、奨学金制度が変わらなければ今後も奨学金が一因となり債務整理をせざるを得ない状況が生み出されるのではないか、そのような疑念がきっかけとなって、埼玉奨学金問題ネットワークの活動に参加しています。

※ 平成16年(2004年)3月31日以前に大学院において第一種奨学金の貸与を受けた方で、大学院に2年以上(学位を授与された者にあっては1年以上)在学し、大学院を卒業し又は退学した日以後1年以内(文部科学大臣の認可を受けた特別の事由があると育英会が認めた者にあっては5年以内)に教育又は研究の職に就き、5年以上継続してその職にあり15年間在職する方は、所定の手続きをしていれば奨学金の返還の免除を受けることができます。
以上は概要で、他にも細かな要件があるようなので、ご自身の適用の有無については日本学生支援機構に確認をされることをお勧めします。
また、平成10年(1998年)3月31日以前に大学(学部)、短期大学もしくは高等専門学校に入学し、その在学期間中の平成10年4月1日以降に第一種奨学金の貸与を受けた方についても、同様の免除制度があります。

埼玉奨学金問題ネットワーク
会員 司法書士 武井光崇
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