奨学金返済と可処分所得

先日、次のような相談を受けました。

「生活が苦しく、機構に減額返還を願い出たが、
年収が320万円程度あったため、機構から、
『基準を超えているので認められない』と断られた」

日本学生支援機構の杓子定規な対応も気になりましたが、一番気になったのは、相談者の方は、毎月約2万6000円の奨学金返済を続けていたことです。

毎月2万6000円ですから、1年で31万2000円になります。
相談者の方は、数年間にわたり、一度の延滞もなく返済を続けてきていました。
前年度の収入が320万円程度だったとのことですから、もし奨学金の返済額が所得控除されていれば、経済困難の基準となる年収300万円以下となります。

奨学金の返済を続けている限り、実際に自由に使えるお金はその分減少します。
一方で、税金や社会保険料等、所得を基準に計算される公租公課は奨学金返済がない場合と全く同じ水準で賦課されます。

これでは、ますます生活は苦しくなり、奨学金の返済も困難になります。
奨学金の返済額が所得の計算上考慮されない仕組みに違和感を覚えます。

※相談内容をブログに掲載することについては相談者の方の承諾を得ております。

埼玉奨学金問題ネットワーク
会員 弁護士 平田明之
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