公的援助日本最下位、若者よ声をあげよ

9月に上尾でNPO法人が主催する「子どもの貧困と支援」と題して弁護士及び、現在生活困窮家庭の子どもの学習支援をおこなっている元教師の方の講演会があった。

弁護士さんの話しの中で、今の日本の教育費に対する公的援助の貧困、ということで他の国との比較があった。
経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、比較可能な32カ国中、スロバキアと並び日本は最下位で、幼稚園など就学前教育への支出を含めた統計で日本は5年連続で最下位ということである。
そして、大学授業料無償の国も多い中で、給付型奨学金が無いのはOECDでは日本だけ、というのである。ほんとうに驚きである(また先だっての埼奨ネットの3周年記念集会で出された資料にも加盟国34か国の大学授業料の無償化と給付型奨学金の有無の表があり、大学授業料の無償化と給付型奨学金の両方ともないのは日本だけで「××」となっている。ちなみに前述のスロバキアは両方とも有りで「〇〇」である)。

教育を受ける権利
日本国憲法26条には、「①すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。②すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育はこれを無償とする。」とある。

高額な大学授業料を強いられ、給付型奨学金がない今の日本の現状を見ると、どこの国の憲法かと思います。
そして日本国憲法には、その前に、法の下の平等(14条)、生存権(25条)がある。

元教師の方は、「小学、中学と教室の中ではお客さんで過ごした子供がいて、分数も掛け算の九九もわからないで来た子が、少しずつわかり始めると霧が晴れたような顔になり、嬉しくなります。」とほんと嬉しそうに話されていた。

私は、多重債務の相談を多く受けて感じたことは、相談者は一生懸命生きているのに、生まれながら平等ではなく、生存する権利も保障されていなくて、教育を受ける権利もなく、日本国憲法って何?と言いたくなってしまう。

この現実を知り、多重債務の問題が弱いものいじめの社会問題とわかってからは、当事者も声をあげ、共に問題を世間に知らしめ法律を改正できた。
だから、奨学金に苦しむ若者が問題を実感し、少しずつ声をあげて行っていることにエールを送りたい。諦めないで問題を明らかにすることが制度を変えるポイントである。当事者しかできないことである。
前述の「××」を「○○」にできるように声をあげてほしい。

埼玉奨学金問題ネットワーク
副代表 司法書士 井口鈴子
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